
1995年1月17日、神戸を中心に大きな被害をもたらした阪神・淡路大震災から約30年が経ちました。あの日の記憶は神戸市民の心に今なお深く刻まれています。災害は時に突然訪れ、私たちの日常を一変させることがあります。神戸の方々はこの経験から「防災」と「終活」を密接に結びつける独自の知恵を育んできました。
「終活は生前整理だけではない」「災害時に家族を守る準備こそ本当の終活ではないか」という考え方が、神戸では広く浸透しています。実は防災と終活には深い関連性があり、両方を意識することで、いざという時の備えがより充実するのです。
この記事では、震災を経験した神戸市民の声をもとに、災害への備えと終活を組み合わせた実践的なアプローチをご紹介します。「もしも」の時に家族を守るための知恵と、神戸から生まれた終活の新しいかたちをお伝えします。
1. 阪神・淡路大震災から28年、神戸市民が実践する「命を守る終活」とは
あの日、神戸を襲った未曾有の大震災。突然の揺れが多くの命と日常を奪い去りました。阪神・淡路大震災の経験は、神戸市民の防災意識を根本から変えました。特に注目すべきは、防災と終活が密接に結びついている点です。
神戸市長田区に住む田中さん(68歳)は「震災で大切な家族写真をすべて失った経験から、今は防災袋に思い出の品のデータを入れたUSBを常備しています」と語ります。これは単なる防災対策ではなく、人生の記録を守る「終活」の一環でもあるのです。
神戸市の防災士・山本さんによれば「神戸市民の多くは、必要書類(保険証、免許証、銀行通帳のコピー)を防災バッグに入れています。これは被災時の身元確認だけでなく、万が一の際に家族への負担を減らす意味もあります」と説明します。
JR三ノ宮駅近くで終活セミナーを主催する「こうべ終活支援センター」では、防災と終活を組み合わせた「防災終活ノート」の作成講座が人気を集めています。このノートには避難場所や連絡先だけでなく、遺言や延命治療に関する意思表示まで記入できるようになっています。
「震災の記憶は、物だけでなく命の大切さも教えてくれました。だからこそ、自分の最期について考え、準備することが家族への最大の思いやりになる」と語るのは、震災で両親を亡くした神戸市東灘区の佐藤さん(55歳)です。
阪神・淡路大震災を経験した神戸市民にとって、防災は単なる「災害への備え」ではなく、「人生の備え」として終活と一体化しています。この考え方は今、全国の防災意識の高い地域にも広がりつつあります。
2. 震災経験者が語る「防災×終活」神戸市民に受け継がれる生きるための知恵
阪神・淡路大震災を経験した神戸市民の間では、「防災」と「終活」を一体として捉える独自の視点が育まれてきました。震災で多くを失った経験から、「命を守ることと、残された家族への負担を減らすことは表裏一体」という考え方が広がっています。
「震災で家族の写真や大切な書類をすべて失いました。だからこそ今は防災バッグと一緒に、遺影用の写真やエンディングノートも用意しています」と語るのは、長田区在住の70代女性です。彼女のように、防災グッズの中に終活関連の書類を保管する方が増えているのです。
神戸市東灘区の防災コミュニティセンターでは、毎月開催される防災講座で「もしもの時のための整理術」が人気を集めています。ここでは保険証書や銀行通帳などの重要書類の保管方法から、デジタルデータのバックアップまで、災害時と「その後」を見据えた準備が教えられています。
「神戸の人は『いつか来る』ではなく『必ず来る』という前提で災害に備えています」と話すのは、須磨区で防災アドバイザーを務める60代男性。「家族構成や住居環境に合わせた防災計画と同時に、自分の意思表示や財産整理も進めておくことが、真の備えになる」と強調します。
特筆すべきは、若い世代にもこの「防災×終活」の考え方が浸透している点です。神戸大学の学生サークル「みらい防災lab」では、高齢者宅を訪問して防災点検と同時に、思い出の品の整理や終活相談のサポートを行っています。「防災は今を守り、終活は未来を守る」という彼らの活動理念が、世代を超えて共感を呼んでいます。
兵庫区の防災士資格を持つ40代女性は「震災から学んだのは、物よりも心の準備の大切さ」と語ります。「家族との思い出や大切にしている価値観を共有しておくことが、災害時の判断にも、残された家族の心の支えにもなる」という言葉には、長年の経験から生まれた深い洞察が感じられます。
防災用品店「ぼうさいや」(神戸市中央区)では、防災グッズと一緒にエンディングノートや相続関連書籍のコーナーが設けられています。店長によれば「特に震災経験者は、生きるための備えと、万が一のための備えを分けて考えない傾向がある」とのこと。
神戸市の防災・終活の取り組みは、「生きるため」と「逝くため」の準備を一体化させた知恵として、全国から注目されています。震災という苦難を経験した市民だからこそ生み出せた、この「神戸スタイル」は、超高齢社会を迎える日本全体にとって、貴重なモデルケースとなっているのです。
3. 神戸発、災害に強い家族になるための終活ステップ5選
神戸市民の多くが経験した阪神・淡路大震災。その教訓から生まれた「防災型終活」が今、注目を集めています。いざという時に家族を守り、混乱を最小限に抑えるための準備が、実は終活と深く関わっているのです。神戸市の防災担当者と終活カウンセラーが共同開発した「災害に強い家族のための終活ステップ」をご紹介します。
【ステップ1:エンディングノートに防災情報を追加する】
通常のエンディングノートに「災害時連絡先」「避難経路」「家族の集合場所」などの情報を追加しましょう。神戸市北区の防災士・山田さん(58歳)は「エンディングノートの防災版を家族全員がスマホに保存したことで、先日の台風時にスムーズに避難できた」と話します。
【ステップ2:デジタル資産の整理と共有】
パスワードや重要データのバックアップだけでなく、クラウドサービスを活用した家族写真や思い出の保存も重要です。神戸市の「デジタル終活セミナー」では、被災時にも失わない大切な記録の保存方法を学べます。
【ステップ3:相続と防災を兼ねた家財整理】
神戸市東灘区の被災経験者である田中さんは「震災後、故人の遺品整理に膨大な時間がかかった」と振り返ります。今では防災と終活を兼ねた「必要最小限の暮らし」を実践。家具の固定や収納の見直しが、被災時の危険回避にもつながるのです。
【ステップ4:地域コミュニティへの参加】
神戸市では「防災終活サークル」が各区で活動中。月1回の集まりでは、避難訓練と終活情報の交換が行われています。長田区の高齢者クラブでは、お互いの終活ノートを共有し合う「終活バディ制度」も始まりました。
【ステップ5:法的準備と災害時の意思表示】
神戸市内の行政書士事務所では「災害時エンディングプラン」の作成サポートを実施。災害時の医療や介護についての希望を記した書類を作成し、家族や地域の支援者と共有します。兵庫県弁護士会の無料相談会でも、この取り組みについてアドバイスが受けられます。
防災と終活は別物と考えられがちですが、神戸の経験からは両者を組み合わせることの重要性が見えてきます。いつ起こるかわからない災害に備え、家族の安心を守るための終活。神戸市民が培ってきたノウハウを、ぜひご自身の防災計画に取り入れてみてください。
